EVENT REPORT
ConnectU28
2018.09.10
アイデアを具現化するまでのデザインプロセス
探す(インサイト)、戦略・計画、作る(クリエイティブ)、伝達、改善とデザインの役割が広がりを見せています。デザインとはなにか?これからのデザイナーに必要なことはなにか?について言及する記事を目にすることも増えてきました。そういった中、デザイナーに求められる領域も広がりつつあります。
2018年6月29日、U28のデザイナーを対象に「アイデアを具現化するまでのデザインプロセス」をテーマに、Oisix ra daichiさんと「ConnectU28」を開催いたしました。
Oisix ra daichiの戸田俊作さん、knotの森田賢吾さん、増田圭吾さんに登壇いただき、「作る」「伝える」「改善」といった領域を自社サービス、クライアントワークそれぞれの視点から、制作の裏側やデザイナーにとって必要なことについてお話いただきました。
本イベントのレポートを2回にわけてお届けいたします。
第2回目は、knotの森田賢吾さん、増田圭吾さんのセッションです。
増田圭吾(左)
knot アートディレクター/デザイナー
1983年静岡県生まれ。2009年武蔵野美術大学デザイン専攻視覚伝達デザインコース修士課程卒業。同年、大貫デザイン入社。2013年日本デザインセンター原デザイン研究所入社。2016年より独立。デザインチームknot設立。主な受賞に、NY ADC賞 Bronze×2、ONE SHOW Merit awardなど。
森田賢吾(右)
knot アートディレクター/デザイナー
1984年神奈川県生まれ。2009年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。同年、大貫デザイン入社。2013年博報堂デザイン入社。2016年より独立。デザインチームknot設立。主な受賞に、NY ADC賞 Bronze×2、D&AD Wood Pencil、ONE SHOW Merit award、亀倉雄策賞・JAGDA賞ノミネート、東京ADC・東京TDC入選など。JAGDA正会員。
knotは基本的にどの案件にも2人が関わり、どちらかがメインアートディレクター、メインデザイナーを担当し、客観的な視点を入れることで、シンボリックで完成度の高いアウトプットを目指しているチームです。
0→1の企画段階から、1→10の制作段階まで一貫して行うことで、スピード、クオリティはもちろんのこと、わかりやすく、機能するデザインを行うのが特徴です。
http://www.knot-studio.com/
コトバにできるデザイン(T4 VI デザインプロセス)
渋谷にできたストア、レストラン、卓球場、卓球スクールを複合した新型卓球施設のブランディングをおこなう。
オリエンエーション→アイデア・ラフ→プレゼン→本制作・完成の4つのプロセスで進行。
(1)オリエンテーション
【概要】
近年、卓球が注目されはじめた。これまでの卓球のイメージを東京オリンピックに向け、さらに注目されるものへと大きく変えていく。また、多くの方に卓球を楽しんでもらい、マーケット拡大のきっかけとなることを目指す。ストア、レストラン、卓球場、卓球スクールを複合した渋谷にできる新型卓球施設のブランディング。
“オリエンで大切なことは、思いついたアイデアをどんどんクライアントにぶつけ、知らないことは積極的に聞く姿勢です。能動的になることでプロジェクトの方向性をクライアントと共有することができます。”
オリエンテーションを受けて、渋谷っぽい、今っぽい、イメージを変えるかっこよさ、若さ、温泉イメージからスポーツへ、イケてる遊びっぽさなどなど、目指すべき方向を定めるためにキーワードを整理する。
(2)アイデア・ラフ
整理したキーワードを元にロゴラフを開始。まずは書体イメージの検証(左上)を行い、シンプルなもの(右上)、卓球モチーフを立てたもの(左下)、テーブルをモチーフにしたもの(右下)など様々なアイデアを出しキーワードと照らし合わせながら方向性を決めていく。
“卓球を行うだけでなくレストランで食事を楽しんでもらったり、スクールで卓球の楽しさに触れてもらったり、卓球をベースとしたコミュニケーション空間を作りたいという思いがあったので、卓球に縛られすぎないようにと考えました。縛られすぎず、かつ卓球を起点としたコミュニケーションの場を表現できるロゴとして、右下のテーブルをモチーフにしたものをベースに考え、最終的に「T」をテーブルに見立てたロゴの方向で進めることに決定しました。”
同時にロゴよりもわかりやすくブランドイメージを表現できるものとして、キャッチコピーの制作を行う。卓球(Table Tennis)、飲食、スクールすべてがテーブルを挟んで行われることから、テーブル越しに色々な人が楽しんで、楽しむ場所であって欲しいという想いを込めて「TABLE FOR PLAY」に決定。
(3)プレゼン
ロゴだけでなく完成イメージがわかるように、看板、Tシャツ、バッグ等、展開まで作成。
“プレゼンの際はロゴ以外の展開は求められていなかったのですが、様々な展開を提示しました。それぞれの意図を説明することで、クライアント側も新たな発見があったり、イメージが膨らんだりして、プロジェクトの方向性を共有できたと思います。また、頼まれていなことでも能動的に行うことでクライアントの信頼を得るとともに、良い関係性を築くことができました。プロジェクトを進める上で信頼関係のあるチーム作りは重要なので、積極的にいいと思ったことは提案する姿勢は大切だと思います。”
“プレゼンするときに大切なのが言語化するということです。プレゼン相手はデザイナーではない方が多いので、なぜいいのかをロジカルに説明する必要があります。その時に、ラフ制作の前におこなう「キーワード出し」等、言葉と一緒にビジュアルを進めていくと、製作者自身の頭の中も整理されやすいので、クライアントに説明する際も非常に役立つと思います。”
(4)本制作・完成
最終の完成形ロゴ
“本制作に入るとカメラマンやWebのコーダー、印刷屋など、様々な人が関わってくるので、デザイン意図や世界観を言語とイメージで共有する必要があります。そして、目指す方向がズレていないか、高い完成度を確保できるか等、俯瞰して客観的に見ることが重要になります。”
看板、外観、内装。
Webサイト、Tシャツ、ノベリティグッズ。
knotの主な制作事例
ヤマハスピーカーのグローバル向けキービジュアル。ポスター、展示会装飾、グッズまで広く展開。
Netflixで復活したあいのりのVI。ロゴ、キービジュアル、ラブワゴンの制作をおこなう。
スポーツブランド デサントのキービジュアル。大谷選手を始め、多数の選手を撮影したビジュアルを作成。
毎日血圧を測る運動「BP365」のビジュアル。あばれる君を起用してポップなビジュアルを作成。
シェアリングエコノミーのイベント「SHARE SUMMIT SHIBUYA」のVI。ロゴ、グッズ、会場装飾まで広く展開。
美容院のVI。ロゴ、ビジュアルまで広く制作。
- オイシックス・ラ・大地株式会社では「これからの食卓、これからの畑」を一緒に作るデザイナーを募集しています!
https://recruit.oisixdotdaichi.co.jp/job/designer/
- 企画:
- 小川佐智江(オイシックス・ラ・大地株式会社)
渡邊浩樹 @watanabeeeeee(Connective Inc.) - 写真:
- 髙橋哲朗(オイシックス・ラ・大地株式会社)