Connective(コネクティブ)

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EVENT REPORT

ConnectUp with Oisix.daichi vol.2

2018.04.18

トップディレクターの視点 − Oisix.daichi × Creativity Class −

クリエイティブ表現は日々広がりをみせており、案件内容や、変化のスピードから前例を参考にできないことが往々にしてあります。そういった中、クリエイティブの良し悪しを日々アップデートし、評価されるクリエイティブを生み出すために、第一線で活躍しているクリエイターはどのように情報を収集し、自らの基準をアップデートしているのでしょうか。

2018年4月6日、Oisix.daichiさんと共同で「ConnectUp with Oisix.daichi」を開催いたしました。

「トップディレクターの視点」というテーマで、国内外のアワードを多数受賞している3人、Garden Eightの野間寛貴さん、EXIT FILMの田村祥宏さん、BEES & HONEYの今村玄紀さんに登壇いただき、それぞれの視点からWeb、Film、Brandingの“いま”を海外事例など交えながらお話いただきました。

本イベントの書き起こし記事を「Web編」「Film編」の2回にわけて公開いたします。
第1回目は、野間寛貴さん(Garden Eight 代表)のセッション「Web編」について紹介いたします。

野間 寛貴
Garden Eight 代表

ディレクター。2011年に利倉健太、大工原実里と共に、WEBデザイン会社 LETTERS を設立。所属メンバーが、Awwwards、FWAなど海外のオンラインWEBデザインアワードを多数受賞。2016年にLETTERSとしての活動を終了し、“Garden Eight”を始動、2017年より活動を本格化。拠点は浅草橋。
https://garden-eight.com/

はじめまして、こんばんは。早速ですが、Garden Eightという会社ご存知の方?

(会場挙手)

おっ、結構いる(嬉)

Garden EightはWebのデザイン・開発チームです。デザイナーかつディベロッパーというメンバーが5名ほどいまして、僕は彼らをサポートする体制。ディレクターといいつつ、デザインと開発以外はなんでもやっている感じでしょうか。営業して企画して進行・管理して採用して会計もみたりしています(笑)

さて、今日はOisix.daichi × Creativity ClassということでOisix.daichiさんはご存知の方おおいと思うんですが、「Creativity Class」ご存知の方?

(会場挙手)

誰も知らないですね、ですよね(笑)

最初にここの説明します。
「Creativity Class」というのは、企業の経営者や広報担当者向けに、制作の人たちが最近見た良いなと思うWebサイトや映像などの事例を紹介する勉強会なんですが、他の勉強会と違うのは自社の話、自社の事例紹介をしないというところです。なので、今日も自分達で作ったものは紹介しません。他社が作ったもので“これいいよ”というのを紹介させてください。

ということで、今日は最近僕が「おすすめするWebサイト」「おすすめの制作会社の世界版」についてお話しようかと思います。では、はじめます!

AwwwardsやTwitterでいけてるWebサイトをチェック!

まずはどこで最新の技術や表現を使ったWebサイトを探しているのかというと…

Awwwardsってご存知の方?

(会場挙手)

おっ、結構いますね。

簡単に説明をすると、Awwwardsは、今、もっともトラフィックが多いと言われているWebのオンラインデザインアワードです。1日1つずつ「Site of the Day(SOTD)」として優れたサイトに賞が与えられます。ここで表彰されたサイトや、ノミネートされているサイトを結構チェックしています。
この賞の面白いところは、個人のポートフォリオサイトから、広告関係の大規模なサイトまで、まとめて評価をしてくれるところです。例えば、フランスの学生のポートフォリオサイトの横に、世界的に有名なゲーム・ブランド × Googleのコラボキャンペーンサイトが並んでいたり、規模感や予算感など関係なく、良いものを紹介してくれるのでとても参考になります。

もう一つがTwitterです。Twitter、結構ガッツリやってますよって方?

(会場挙手)

意外といませんね。

TwitterはWebサイト作る人はしっかりチェックした方が良いと思います。日本もそうですが、欧米のデザイナーやディベロッパーは自らが制作したものをしっかりTweetするので、それをチェックしてるとかなり勉強になります。それこそ、Awwwardsなどで好きなデザイナーやディベロッパーを探してフォローすると良いですよ。編集方針のないWebデザインまとめを見て「トレンドはこれか!?」と感じるよりも、良いものを早く自分で直接チェックする方がテンションも高まります。なので、Twitterはわりとおすすめです。ということで、そろそろ本題にはいりましょうか。

おすすめのWebサイト

まずは「BASIC™」からいきましょう。BASIC™という会社、ご存知の方?

(会場挙手)

ほぼ、いないですね(笑)残念。

ここはですね、西海岸にあるデジタルを起点としたブランディングを得意とするエージェンシーなんですが、いわゆるコーポレートサイトに加えて、自社メディア・自社サイトをいくつか作っていて、その内容と作り込みがめちゃくちゃセンスいいのです。ということで、彼らの新作の「Culture Manual」を紹介しますね。

BASIC™ | Culture Manual
http://culture.basicagency.com/

(サイトを見ながら)なんか旗がゆらめいてるぞみたいな動きをしていて、表現自体もかっこよかったり、構成も最高なんですけど、僕が好きなのが「Our Way」というコンテンツです。役割としてはおそらく、社内向けに「どういう価値観が社内では推奨されていて、それにむかって走るぞ」みたいなことを文章化、社外向けに「お客さんに対してどういう価値観で仕事するから、こういうものがでてきやすいよ」みたいなものを表現しています。僕の予想では、このサイトの一番の目的は採用だと思ってるのですが「このCulture Manualを読んでBASIC™に入社してください」というようなこともコンテンツとして用意してあります。あと、書いてあるDesign philosophyも結構よくて。「Strategy is the brother of creativity」とか書いてありますけど、ここはまさにデザインと戦略を一緒にやっていきましょうみたいなことが書いてあります。ここもかっこいいのでぜひ読んでみてください。




では、次に。EC好きだよって方?もしくはECのお仕事してますって方?

(会場挙手)

なるほど。そういう方に見て欲しいのがこのサイトです。

これは「OPEN WEAR」というファッションのブランディングECサイトで、洋服を売っているサイトなんですけど、普通、ファーストビューに商品並べたくないですか?
でも、このブランドは、冒頭に思いっきりコンセプトとコンセプトを現す写真、そして、いわゆるジャーナル的な要素をおいてるんですね。どういう姿勢がよくて、どういう価値観でやってますみたいなものを一番見えやすいところにおいているんです。商品は中までいかないと見えない。ECサイトとしては画期的だなと思ってまして、時代を表しているサイトだなと思います。普通はやっぱり、みんな売りたい売りたいってなりますからね(笑)

(会場笑)

それで、これが商品ページ。この服に対してこんなストーリーがあるよというのをちゃんと添えてくれています。僕みたいに「これ、すごいんすよ」って話したい人にとってはこの情報があればいくらでも買う気になるという、細やかに気を使われた素敵なサイトだと思います。




さて次。これ派手だから、皆さん喜ぶと思う。見せますね(笑)

You Are The Stylist
http://www.youarethestylist.com/

これファッションブランドというよりはファッションECの会社が協賛をして作っている、Broken Backというミュージシャンのミュージックビデオなんですよ。提供しているのはvente-priveeというところ。

(サイトを操作しながら)このサイト、面白いのがクリックすると、このおばあちゃんが着ている服のスタイルを変えられるんですね。例えば、このスタイルを選びます。そうすると、物語が流れて、そのスタイルがこのストーリーにあってるかどうかジャッジされます。この場合、失敗になりますが…こんな感じで「これじゃだめだよ、このストーリーにおいて、このとき着るべき服はこれだよ」「これでOK!さすが!」というのが何度か続きます。そうやって、失敗したり成功したりしながらいつのまにか、最後までミュージックビデオ見ちゃうみたいな。最近観た中では個人的に群を抜いてインタラクティブでセンスのいいサイトだなと思いました。




お勧めのサイト紹介としては最後、「Thaddé Méneur」です。

Thaddé Méneur
http://thaddemeneur.com/

フランスのデザイナーさんのポートフォリオサイトなんですけど、確か大学4年生の方のサイトです。大学4年生が作ってるとは思えないクオリティなんですけど、彼はこういうポートフォリオサイトを作って世に出して、Awwwardsみたいな賞にだしては、僕らみたいな制作会社の人たちに見せていって、そこから就職活動始めるというふうにしているみたいです。彼はMING Labsっていう結構有名な制作会社のインターンシップを勝ち取ったみたいですが、その後、きっとMING Labsでインターンシップしたよというのをもとにまた就職活動すると。
彼も含めて、僕が知る海外の優秀なアートディレクターやディベロッパーは、半年ぐらいごとに、プロジェクトや会社を変えて各国をまわっていくみたいなタイプの仕事をやっていたりもするんですけど、そんなレベル感の学生は年に10人くらい出てきたりしてるイメージ。もっと多いか。
日本のWebデザイナーってよく紙でポートフォリオを持ってきちゃったりとか、自分のまわれる範囲でしか就職活動しないんですけど、彼らは最初にこういうのをインターネットにポーンって出しちゃって、後はスカウト待ちみたいなことを結構やっていたり、メールで軽く応募してきたりするんで、うちにも来たりしますが、そういう応募の文化の違いは面白いなってみてたりします。

さて、Webサイトの紹介はこのあたりにして、次は海外の制作会社で、ぼくがチェックしている会社をいくつか。

おすすめの制作会社(海外)

さっそくですが、Watson/DGって知ってる方?

(会場挙手)

いないか(笑)残念。

ハリウッドの映画見る方?

(会場挙手)

そりゃあ、結構いますよね。
では、ハリウッドの映画のWebサイト見る方?

(会場挙手)

結構いますね。日本のサイトかな。本国のサイトみたことある方?

(会場挙手)

あまりいらっしゃいませんね。日本のサイトと本国のサイト、結構違うこともあるので、気になる映画がある方は是非、両方チェックすると良いですよ。

さて、このWatson/DG、ハリウッドの中にオフィスがある会社で、そこで撮られた映画のサイトを作っている会社です。色々有名なの作ってますけど僕は「A Ghost Store」ていうのが好きです。「A Ghost Story」って映画のキャンペーンサイトなんですけど、これ、布売ってるECサイトなんですよ。幽霊になれるみたいな(笑)。

A Ghost Store
https://aghost.store/

(サイトを操作しながら)面白いのが、このPriceのところ。8:19って書いてあるんですけど、下に「TOUCH & HOLD TO PAY」て書いてあって、TOUCH & HOLDすると予告編が始まるんですね。で、離すじゃないですか。すると、前の画面に戻るのですが、見た時間だけ8:19の表示が減るんですよ。要するに、この布を買うためには8分19秒間、ずっとHOLDしておかないといけないんですね。もうパソコンの前から動けないみたいな(笑)。結構最後まで見ちゃうんですね。こういうギミックによって映画の雰囲気を伝えつつ、本編も見てねっていう仕組みを作ってるのですが、こういった企画・制作をやっているのがWatson/DGです。ここはデザインも技術も企画も最高に面白いし、素材が映画なんで基本的にサイトのレベルがとても高いです。




次はBuild in Amsterdamを紹介します。

名前のとおり、オランダの会社です。さっき紹介した「OPEN WEAR」を作ったのがここです。Build in Amsterdamって他にもECいっぱいやってるんですけど、インターフェースだったり表現だったり、毎回、これまでに見たこと無いよっていう新鮮なサイトを作ってくるのでプロジェクト毎にチェックしてます。ECに興味がある方であれば、是非チェックしておいたほうが良い会社です。




最後はBASIC™です。

先程、お話したCulture Manualを創っている会社です。デジタルからブランディングを、という会社なのですが、今、日本でオウンドメディアっていう概念を結構みんな良しとしていて、作っちゃ潰して作っちゃ潰してしてると思うんですけど(笑)彼らの面白いところは、それの音声版、「Brandbeats」を運営してたりします。

Brandbeats: A Creative Podcast with Curated Tunes & Industry Views
https://brandbeats.basicagency.com/

(サイトを見ながら)この方々、BASIC™のメンバーなんですけど、メンバーが色々なテーマで話していて、それを録音して配信しているという自社メディアです。就業環境におけるダイバーシティについて語ってたり、デザインの仕組みについて語ったり、クリエイティブチームの作り方やARとVRの未来だとかについて話してます。いわゆる記事として読むのではなく、耳で聞くオウンドメディアというのをやってるんですね。日本の企業にも提案したんですけどわりと、どこもOK出してくれない(笑)。喋るの苦手らしい。どこかやってくれるところあったら連絡ください。やりたい!お願いします(笑)


これでジャスト時間かな。なので以上になります。
ありがとうございました!

セッションの最後に日本のおすすめ製作会社もいくつかご紹介いただきました。野間さんおすすめの制作会社(日本版)は「Web Creative Productions & Agencies in TOKYO」でご覧いただけます。ぜひチェックしてみてください!!

セッション後の交流会では、Oisix.daichiさんの新鮮な野菜と魚を使った「金目鯛とアサリのアクアパッツァパスタ」「旬野菜たっぷりスペインオムレツ」「こだわりサニーレタスと白ゆきしめじのサラダ」が参加者に振る舞われました。おいしい料理を前に、登壇者、参加者同士の交流も一層盛り上がりあっという間の時間でした。

オイシックスドット大地株式会社では「これからの食卓、これからの畑」を一緒に作るデザイナーを募集しています!
https://recruit.oisixdotdaichi.co.jp/job/designer/
企画:
高橋渉吾/五十嵐啓之/小川佐智江(オイシックスドット大地株式会社)
渡邊浩樹 @watanabeeeeee (Connective Inc.)
写真:
髙橋哲朗(オイシックスドット大地株式会社)